グリーンシートは「未公開株」?
未公開株詐欺事件が度々報道されています。なぜ騙されるのか全く理解できませんが、金融庁もホームページで「未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~」と題して注意を促しています。以下はその内容の一部抜粋です。
『.....未公開株の販売等を行うことが出来るのは、当該未公開株の発行会社や登録を受けた証券会社に限られますので、その他の者からの勧誘については十分ご注意下さい。なお、証券会社においては、日本証券業協会の自主ルールにより、グリーンシート銘柄以外の未公開株の勧誘は原則として禁止されています.....』
不思議なのは、未公開株詐欺に対する注意喚起でわざわざグリーンシートだけを引き合いに出していることです。正確には『.....証券会社においては、証券取引所上場株式とグリーンシート銘柄以外の株式の勧誘は原則として禁止されています.....』のような表現にするべきです。あるいは、グリーンシートを云々する必要がないのです。
グリーンシートは未公開株なのでしょうか?そもそも未公開株とは何なのでしょうか?未公開株の同義として「未上場株」という言葉もよく使われます。いずれも法規で定めている言葉ではありませんが、証券取引法で定められている証券取引所に上場する株式を包含して指す「上場株券等」や「上場株」の反対語として「未上場株」が使われていると思われます。その意味で、グリーンシートが「未上場株」であることに間違いはありません。
また、「上場株」と同義で使われる「公開株」という言葉は「一般の人が売買できる」「経営情報を外部に公開している」といったニュアンスが感じられます。その意味では、証券取引所の上場会社に準じた情報開示が求められているグリーンシートは「未公開株」よりは「公開株」に近いというのが実感で、「未公開株」と断じるにはやや抵抗があります。
グリーンシート銘柄は証券取引法第40条第1項第1号で「取扱有価証券」として規定されています。当該条文をそのまま引用しますと
『第40条 証券会社は、次に掲げる取引に係る契約を締結しようとするときは、あらかじめ、顧客(証券会社、外国証券会社、銀行その他の内閣府令で定める者を除く。)に対しこれらの取引の概要その他内閣府令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。ただし、当該契約の締結前内閣府令で定める期間内に当該顧客に当該書面を交付した場合には、この限りでない。
1.取扱有価証券(株券、新株予約権付社債券その他内閣府令で定める有価証券(証券取引所に上場されている有価証券及び店頭売買有価証券を除く。)のうち証券業協会の規則において売買その他の取引の勧誘を行うことが禁じられないものをいう。以下同じ。)の売買その他の取引』
となります。
非常に分かりにくい表現なので、あえてその条文を計算式のように表せば
「取扱有価証券」(X)=株券等(A)-上場有価証券(B)-店頭売買有価証券(C)-売買勧誘が禁止されている有価証券(D)
のような引き算(X=A-B-C-D)で定義されています。
つまり、「未公開株」を表すと思われる(D)の注意喚起にわざわざ「グリーンシート」=「取扱有価証券」(X)だけを持ち出すのか分かりません。金融庁の文章では「未公開株はたいへん危険ですので注意して下さい。グリーンシートも未公開株で、証券会社が勧誘しています。」程度の解釈しかできません。グリーンシートをよく知らない人が読めば、グリーンシートを投資対象として遠ざけるような印象を与える表現です。
グリーンシートを積極的に促進すべき立場の関係者が、未公開株詐欺に絡めて自虐的にグリーンシートをPRしているように思えてなりません。
グリーンシートをもう少し「公開」「上場」に近い所にあり、成長を目指して頑張っている企業群の市場(証券取引法上の有価証券取引所ではありませんが)という正しい印象を与えるべきではないでしょうか。「未公開株」=「悪」のようなキャンペーンを繰り広げるなかにグリーンシートを位置づけるのはやめるべきです。
ライブドア株は現在も証券取引所上場株式ですが、「架空の利益話」が公然堂々と開示され証券取引所で売買されている最大の「公開株詐欺事件」かもしれません。
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